| トビウオ
日本海の初夏の味覚・トビウオのことを山陰では「アゴ」と呼ぶ。
梅雨明け前になると、日本海は産卵のために北上して来たアゴの大群で賑わう。
アゴは、島根の沿岸全域で多く獲れ、脂が少なくさっばりとして、高タンパク質。
また、腐敗のもとになる血合いも少なく、粘り気と身が多いことから、生で食べるよりもかまぼこ素材に適した魚である。
平成元年、「県の魚」に指定された。
アゴ野焼
直径7〜8センチ、長さ70センチ、そして重さ1.5キロ。
これがアゴ野焼の原寸サイズ。
冷凍技術が発達した今では、年間を通して店頭にのぼるが、やはり5月から7月にかけて旬を迎えるアゴで作られた野焼が絶品。
野焼きを焼く技術の習得には年季が必要で、職人が一人前になるためには、約三年かかるといわれている。
豪快な大きさと外皮の香ばしさ、中は他のかまぼこや竹輪にくらべてちょっと色黒。
これは、手を加えず素朴に仕上げてあることの表れ。
食べる時は、1センチ幅にスライスするのが普通だが、地元の“通”によると、匂丁の金気が野焼に移るので「手でちぎつて食べるのが一番!」とのこと。
野焼の名の起源いろいろ
アゴ野焼の原型は「蒲の穂」に似たアゴちくわで、初めはヤノ(矢の材料に用いた箭竹)に魚のすり身を巻いて焼いたことから、ヤノヤキ→ノヤキという。
炭火で手焼きにするのが昔からの作り方。
しかし、とにかくサイズが大きいので炭火で焼きあげようとすると店内は熱気と煙でかなわないので、焼き台を戸外や軒先へ持ち出して家中総がかりで焼いたことから「野焼」と命名された。
地伝酒
出雲地方には、昔より「地伝酒」と呼ばれる独特の酒がある。
もち米を主原料とし、醸造に使う米こうじの量は日本酒の約二倍。じつくり熟成させるので、その味わいはかなり濃厚。
飲用はもちろんのこと、みりんの約半分の甘味・日本酒の三倍から五倍の旨味を特徴とするため、アゴ野焼はもとより島根の郷土料理には欠かせない調味料。
地伝酒を使ったアゴ野焼は、歯触りが柔らかく、味にふくらみがある。
地伝酒の成分が、魚の生臭さを消しながらも旨みを引き出す。
昭和18年を最後に、地伝酒の製造は一度途絶えるが、平成2年に復活。幻の味だったアゴ野焼は復元されることとなった。
以来、地伝酒も量産されるようになり、出雲地方独自の味の広がりに大きな役割を果たしている。
十六島(うっぷるい)のり
11月から3月まで、日本海沿岸の岩場で採れる細長い海苔を「岩のり」と呼ぶ。
中でもこの十六島のりは、荒波にもまれるため黒紫色で磯の香りがひときわ高く、正月の雑煮には欠かせない一級品となっている。
板わかめ(島根半島)
生ワカメを板状にして干したもので、細い茎と柔らかな葉、薄さとつやの良さが島根産の特徴。
ワカメの語源とおいしい食べ方
板ワカメのことを出雲地方で「メノハ」と呼ぶ。ワカメ(若布)の語源は、菓の部分が羽のように深く裂けていることからワカレメ(破海藻)だったとされ、それがメノハ(布の菓)に通じたとされる。
また、板わかめは、薄く広げて干すのがポイントで、食べるときも軽く火であぶり、香ばしさがたちのぼったところで火から下ろす。
それを手でもみほぐしたものを、焚きたてのご飯にふりかけて食べるのが簡単で美味。
出雲地方では、昔から「ホイロ」と呼ばれる火鉢が使われる。
繊細な中にも磯の風味が凝縮された島根を代表する特産品である。
揖屋のかまぽこ(東出雲町)
ふっくらと柔らかく、後味の良さが特徴。種類も多彩で、魚のすり身をフライにした“昔風コロッケ”や、アゴ野焼など名産品として親しまれている。
丸干し(松江市鹿島町恵曇)
山陰沖で捕れる鮮度の良いイワシを塩漬けし、冷たい風で乾燥させる。
火を通すと柔らかく、頭から丸ごと食べられる。
ふぐ昧酬干し(浜田市)
浜田漁港沖で一本釣りしたナゴヤフグ(ショウサイフグ)を、独特のみりんダレにつけて天日干しにしたもの。
干しカレイ(浜田市)
浜田漁港に水揚げされた「ササガレイ」を一夜干しにしたもの。
薄塩で身がやわらかい。
赤天(浜田市)
新鮮なスケトウダラのすり身にトウガラシを加えた天ぶら。
ビリ辛風味は幅広い世代に好まれている。
すまきかまぼこ(大田市)
山陰近海で捕れるエソ・トラハゼなどのすり身を、ストロー状のもので巻いて蒸しあげたかまぽこ。
肉質はきめ細かく弾力性があり、上品な味わい。
イカのおどり漬け生妻漬け(隠岐の島町)
捕れたてのイカを船上で、しょうゆ・みりん、生妻などを合わせた独特のタレに漬けこんだもの。
海藻焼酎(隠岐の島町)
海藻そのものを発酵・蒸留させた焼酎で、まろやかな口あたりの中に磯の香りが広がる。
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