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あわせ水でうまさを追求
酒造り一筋百七十六年の歴更を持つ吉田酒造(島相県広瀬町、吉田佳晴社長)が昔ながらの製法で造り続けている清酒「月山」。全国新酒鑑評会で金貰に十回輝き、全国で根強いファンも多い。うまさの秘密は上質のコメと名水をベースにした独白の「あわせ水」だ。
清酒「月山」は、中村に尼子氏が居城を置いた同町内の山「月山」にちなんで同社の二代目が昭和初期に名付けたという。吉田社長(61)は東京農業大学卒業後に帰郷し、三十八歳で四代目を継いだ。先代の時から同社で酒造りを行ってきたベテラン杜氏(とうじ)とともに原料の水とコメを吟味。水はこれまで島根名水百選に指定され、江戸時代の歴代広瀬藩主も愛飲したとされる「お茶の水井戸」の軟水のみを使用してきた。しかし「毎年徹妙に違う米質や気候条件に対応するためには硬度の高い水も必要」と十二年前、同町内数カ所からわき水を採取。島相県産業技術センターで成分を分析し酒に適したやや硬度の高い水を見つけた。以来、杜氏が長年の勘で軟水とフレンドした「あわせ水」を使っている。コメは奥出雲地方で取れる「佐香錦」「山田錦」「五百万石」など上質の酒造好適米を多く使用。さらに約三千万円かけて精米機も購入し、自家精米をしている。吉田社長は「いい酒を造るために原料、製法は徹底的にこだわりたい」と話す。
「月山」は十三種類。一番の売れ筋は特定名称洒と呼ばれる大吟醸、純米吟醸、純米廼。吉田社長は「日本酒度が高い辛口の酒だが、軟水をベースに造っているので口当たりがやわらかく、会べ物の味を殺すこともないだろう」と話す。
日本酒の消責量が年々減少していく中で、売り上げを伸ばすために地元の小売店を一軒一軒回り必死に営業活動も行った(いくら良い酒を造っても、全国発信しなければもはや生き残っていけない」と、都会地への坂路拡大に腐心。1978年ごろから約五年間、毎年十月に東京や大阪、神戸の大手デパートで試飲販売を行い「月山」を積極的にPRした。その時の苦労が実り、今では東京、名古屋、静岡、神戸、広島、福岡の問屋に卸し、全国の広い地域で販売されるようになった。一升瓶(1.8リットル)挟算で年間約十万本、年商約二億円を売り上げる。
吉田社長は「昔ながらの手づくりと三段仕込みにこだわっている。手間がかかるところは手間をかけ、時間がかかるところはじっくりと時間をかけて、これからもうまい酒を造り続けていきたい」と話す。
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