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出雲民芸紙
出雲民芸紙の由来
安部榮四郎
安部榮四郎記念館
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安部榮四郎と出雲民芸紙

故 安部榮四郎(人間国宝)
 
別所集落の全景
島根県八束郡八雲村岩坂の別所集落の遠望、中央に民芸紙の紙すき場がある。
正倉院復原雁皮紙
雁皮紙
出雲民芸紙
便箋各種

 出雲の国は、古代より紙の産出国で、正倉院文書にも紙が残っている。一番栄えたのは江戸時代で、松江を中心に藩の御紙屋が設けられ、ここ八雲村別所地区でも江戸時代中頃より紙すきが始まり、盛んな時は、紙すき屋も30軒あったが、今では2軒を残すのみである。安部榮四郎は衰退していく出雲和紙を伝統技術に現代感覚をを加え、『出雲民芸紙』として誕生させた。
 安部は、幼い時から家業の紙すきを手伝い、紙すきの技を学びました。安部の育った村は古くから紙すきがおこなわれていましたが、必ずしも名高い紙すき産地ではなく、そのため安部の修行は自発的な研究態度となりました。21歳の時、安部は島根県工業試験場紙業部に入りました。そこで、各種の紙すき方法を試みながら技をみがき、のちには、島根県下の紙すき職人の間を巡回して技術指導するようになりました。そうした活動のさなかの昭和6年(1931年)、民芸運動を提唱しはじめた柳宗悦が松江をおとずれ、安部の漉いた雁皮の厚紙をみて「これこそ日本の紙だ」とほめたのが機縁となり、安部は民芸運動に参加するようになりました。安部は、民芸運動の染織、陶芸、版画などの仲間にはげまされ、鍛えられながら、和紙の持ち味を殺さずに生かして染めた和染紙、水の美しい動きを生かして繊維を漉き込んだ漉き模様紙、楮、三椏、雁皮などの植物繊維の特色をうまく生かして漉き分けた数々の生漉紙(きすきがみ)を発表しました。のちに安部の漉いた紙は、「出雲民芸紙」と総称されるようになり、全国で熱心な愛好者を育てました。
 安部は、技におぼれず、常に和紙の特徴を賢明にいかしながら、今までの和紙の歴史になかった、独自の個性を発揮した数々の名紙を創出しました。安部の紙は、いろいろな技術が用いられていても、植物繊維の持つ特色を十分に発揮するように心がけられていましたから、楮紙は楮紙らしく、雁皮紙は雁皮紙らしく力強く堂々としていて、いわば男性的な魅力にあふれています。
 安部は、昭和35年(1960年)から8年間、正倉院宝物の中で千年をこえて保管され続けてきた紙について、和紙研究家の寿岳文章らとともに調査研究をおこない、和紙の原点ともいえる正倉院宝物紙を復元して漉くことに成功しました。
 昭和43年(1968年)、安部は、文化庁から雁皮紙を漉く伝統的技術を高く評価され、重要無形文化財に認定されました。俗にいう「人間国宝」のことです。
 昭和9年(1934年)東京で、一紙すき職人の漉いた紙のみで一堂を飾る「和紙の個展」という、和紙の歴史で初めての試みを行って以来、昭和59年(1984年)12月18日に死去するまで、安部は毎年各地で展覧会を開催してきました。
 昭和49年(1974年)の秋には、パリで和紙の個展を開き、以後昭和55年(1980年)までに、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、北京の各地で個展を開催しました。
 昭和58年(1983)安部は生涯をかけて収集した、貴重な和紙の資料や民芸品の数々を保存、公開するために、八雲村に「(財)安部榮四郎記念館」を設立しました。また、和紙技術者の育成のため、付属施設として「手漉き和紙伝習所」を建設しました。
昭和59年(1984年)病気のため亡くなりましたが、今は孫の信一郎・紀正兄弟が後継者となり、伝統が受け継がれています。
 安部榮四郎記念館では和紙を中心に著書や紙の研究資料を紹介。また実際にくらしの中で使われていた紙製品、紙衣、紙布、こより細工や一閉張りの器などを常設展示している。他に安部のコレクションより交遊のあった作家の美術工芸品や民芸品など企画展示しています。